2011/08/12

危うく国境を越える

■ルースキーバイカー*
トムスクを出発してノヴォシビルスク、オムスクを目指します。バイカル湖から西側ではライダーとすれ違う機会が増えてきました。今日はアフリカツインに乗ったロシア人ライダーと立ち話です。「これからモンゴルに向かうんだ。それと僕は神父なんだ。きみ、アレクサンダーを知ってるかい?」などなど難しそうな話になってきたところでもう一台バイクが通りかかり、近くに停車して話に加わります。そうこうするうちに一台、また一台と重装備のバイクが集まってきます。

 STくんを見て「何年前のバイクなの?」と聞いてきたのはエカテリンブルグでバイク雑誌を作っているという女性ライダー。なんでも来春発行の雑誌に僕のことを掲載してくれるそうな。やったー、雑誌デビューだ!

*ライダーのことをロシアではバイカーと呼ぶそうです。ちなみにロシア語でバイクのことはモトチクルといいます。

■カザフスタン国境
オムスクに到着して、次の目標となる都市はチェルヤビンスクです。標識に「チェルヤビンスク 1000Km」と出ているのでそれに従って走ります。モーテルもガソリンスタンドもない、のどかな景色が広がります。オムスクまではトラックの追い抜きに悩まされていましたが、後続もすれ違う車もいなくなって快適でした。そして3時間後、やっとスタンドがありました。うーん、主要都市を結ぶ道のはずなのに極東並みのさびしさです。

給油して走り始めると前方に停車している車の列が300mほど続いているのが見えました。踏み切りかと思い停車していると、前方から車がすれ違います。そのフロントガラスには(KZ)の国籍シールが貼られています。停車している車を観察してみると(RUS)や(KZ)など国境越えをする車両に必須のシールがもれなく貼られています。地図をよーく確認してみると、たしかにこの道はチェルヤビンスクに向かう道です。ただし、「中東の北朝鮮」といわれているカザフスタンを経由してでした。

■120Kmの悪路
この時点で18時、160Km東に位置するオムスクまで引き返すにしても3時間はかかります。おまけにその道すがらは何もないときています。地図をきちんと確認していなかったことを後悔しつつ、幹線道路までショートカットできないか画策します。北に120Kmほど走ればロシア内でオムスクとチェルヤビンスクを結ぶ道に出られそうです。暗くなる22時までには4時間もあるので楽勝、かと思われました。

 ところがここはロシアです。幹線道路だってところどころダートが残り、街中でさえ穴ぼこだらけの悪路だったりダートだったりする国だということをすっかり忘れていました。北に向かって走り始めて10Kmほどでダートが始まり、その後30Kmほど続くのでした。大きい街がひとつありましたが、そこからさらに北に40Km向かえば幹線道路に出られます。ここからの40Kmは舗装こそされているものの、アスファルトが盛り上がり尖っていたり、ひどいときは深さ20cmくらい穴があったりする穴だらけの道でした。

 転倒やパンクでもしようものなら最悪の事態です。あえて休憩をとってみたり、半ばヤケになって「夕日がきれいだなー」と鑑賞してみたりして心のゆとりを持つように自分自身にいい聞かせます。ようやく幹線道路に出たのが21:30くらいで、出てすぐのところにモーテルがあったのでこれ幸いと飛び込みました。ふぅ、今日はなんだかいろいろな出来事があった濃い一日でした。

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